マンガ喫茶の漫画いちへようこそ。運営者の私が日々お客様と接する中で、ボクシング漫画の金字塔であるはじめの一歩について盛り上がることがよくあります。熱い試合展開はもちろん魅力的なのですが、それと同じくらい話題になるのが腹筋崩壊必至のギャグ回についてです。鷹村守の理不尽な行動や青木勝の身体を張ったネタなど、読み返して笑いたいけれど何巻だったか思い出せないという方も多いのではないでしょうか。特にアニメで見たあの神回が漫画の何巻にあるのか知りたいという声や、ネットで話題のブロッコマンや熊と戦うエピソードの詳細を知りたいという声をよく耳にします。そこで今回は、長年のファンである私が自信を持っておすすめする爆笑エピソードをランキング形式を交えてご紹介します。仕事や勉強で疲れた時に、何も考えずに笑える日常パートの魅力を一緒に振り返っていきましょう。
- 鷹村や青木を中心とした伝説のギャグ回エピソードの詳細なあらすじ
- アニメの放送回や漫画の具体的な収録巻数の完全ガイド
- 主要キャラクターごとの笑いの傾向と見どころの深掘り解説
- はじめの一歩の日常パートをより深く楽しむためのマニアックな視点
腹筋崩壊!はじめの一歩のギャグ回神回選
- 鷹村が熊と戦う伝説の爆笑シーン
- 青木がブロッコマンになる入場
- 鷹村の銅像や板垣のダジャレネタ
- 海での合宿は全裸や花火が満載
- 読者が選ぶおすすめランキング

鷹村が熊と戦う伝説の爆笑シーン
これはもう、『はじめの一歩』のギャグ回、ひいては作品全体の歴史を語る上で絶対に外せない、最大級のインパクトを残したエピソードです。物語の文脈としては、鷹村守がブライアン・ホークとの世界ジュニアミドル級タイトルマッチを控えた、極めて重要な時期に位置しています。過酷な減量とプレッシャーの中で行われた「山中合宿」での出来事ですが、シリアスなサバイバル展開から一転して、まさかの爆笑劇へと発展します。
原作では30巻(Round 260〜)付近に収録されているこのエピソード。合宿の最中、鷹村は森の中で野生のツキノワグマと遭遇してしまいます。通常であれば、人間が素手で勝てる相手ではありませんし、最初は非常に緊迫したホラーのような演出で描かれます。しかし、ここで鷹村が見せた行動は、ボクシング漫画の常識を覆すものでした。なんと彼は、熊の攻撃をスウェーやダッキングで回避し、さらには的確な左ジャブで距離を取り、最後は強烈なカウンターを叩き込んで素手で熊をノックアウトしてしまうのです。
「熊殺し」の称号を得た鷹村ですが、このエピソードの真の面白さは戦闘後の展開にあります。倒した熊を鴨川ジムのメンバーで解体し、「熊鍋」として食べるシーンがあるのですが、ここでの一歩たちの豹変ぶりが凄まじいのです。直前まで「可哀想だ」「食べるなんて無理だ」と引いていた一歩や青木たちですが、一口その肉を食べた瞬間、そのあまりの美味しさと、ボクサーとしての本能を呼び覚ます滋養強壮効果によって理性が崩壊します。
鍋を囲む彼らの表情は完全に野獣そのもの。「肉だ!肉をよこせ!」と叫びながら鍋を奪い合い、箸ではなく素手で肉を貪る姿は、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図(ギャグ的な意味で)。普段は温厚な一歩でさえも先輩を押しのけて肉に食らいつく様子は、人間の食欲という根源的な欲求をコミカルかつおぞましく描いており、何度読み返しても腹を抱えて笑ってしまいます。この時、鷹村の胸についた「三本の傷」は、後に彼の強さの象徴としてシリアスな場面でも語られますが、その起源がこのハチャメチャなギャグ回にあるという点も、作者である森川ジョージ先生の計算高い演出と言えるでしょう。
このエピソードの見どころまとめ
- 野生の熊に対し、ボクシング技術(ジャブ、ウィービング)が通用するというシュールな戦闘描写。
- 鷹村の胸の傷(熊の爪痕)という、後のストーリーに関わる重要な伏線回収。
- 熊鍋を食べた後の鴨川ジムメンバー全員のキャラ崩壊と顔芸。
- 猫田銀八という伝説のボクサーとの交流と、そこから生まれる一昔前のギャグテイスト。
青木がブロッコマンになる入場
鴨川ジムきってのコメディリリーフであり、何でもありの変則ボクサーといえば、やはり青木勝です。彼にまつわるギャグエピソードは数え切れませんが、その中でも視覚的なインパクトで群を抜いているのが「ブロッコマン」の回です。これは青木ファンならずとも記憶に深く刻まれている、伝説の入場シーンです。
原作の60巻台、青木が日本ライト級王座へ挑戦する過程(あるいはその後の再起戦などの文脈)で描かれたこのエピソード。青木はラーメン屋とボクサーを兼業しており、常に金欠に悩まされています。そんな彼に舞い込んだのが、とある野菜販売業者からのスポンサードの話でした。資金援助を受けられる喜びも束の間、彼に要求されたのは「ブロッコリーの着ぐるみを着て入場すること」だったのです。
試合当日、会場の照明が落ち、スポットライトがリング花道を照らします。観客が固唾を飲んで見守る中、現れたのは全身緑色のモコモコした物体。頭部は巨大なブロッコリーそのもので、顔だけが辛うじて出ているという、シリアスな格闘技の会場にはあまりに不釣り合いな姿でした。会場は一瞬の静寂の後、爆笑とどよめきに包まれます。
しかし、ここで最も面白いのは、「青木本人はいたって大真面目である」という点です。彼は生活のため、そして勝利のためにプライドを捨ててこの格好をしているのです。着ぐるみの中の表情は悲壮な決意に満ちており、その真剣な眼差しと、ファンシーすぎる外見のギャップがたまりません。対戦相手も「ふざけているのか!」と激怒し、リズムを崩されてしまいます。これはある意味、青木の得意とする心理戦(マリーシア)の一環として機能してしまっているところが、また皮肉で面白いのです。
さらに、この試合では青木の必殺技「よそ見」や「死んだふり」といった、ギャグと紙一重の高等技術(?)も炸裂します。ブロッコマンという出オチに終わらず、試合内容自体も泥臭く笑える展開が続くため、読者は「ボクシング漫画を読んでいるはずなのに、なぜか笑いが止まらない」という不思議な感覚に陥ることになります。青木勝という男の生き様と哀愁、そして笑いが凝縮された名エピソードと言えるでしょう。
マンガ喫茶店長の豆知識
実はこのブロッコマンのデザイン、作者の森川先生もかなりノリノリで描かれているのが伝わってきます。アニメ版では色がつくことで破壊力がさらに増しており、緑色の塊がリング上で動く様は必見です。青木の入場曲と相まって、シュールさは倍増しています。
鷹村の銅像や板垣のダジャレネタ
『はじめの一歩』のギャグは、試合や合宿といった特別なイベントだけでなく、日常の何気ないシーンにも散りばめられています。その中でも特に、鷹村守の常軌を逸したナルシシズムと、後輩である板垣学の特異な家庭環境が生み出す笑いは、スルメのように噛めば噛むほど味が出る面白さがあります。
まずは鷹村の「銅像」に関するエピソードです。これは原作の80巻以降、鷹村が世界タイトル防衛を重ね、名実ともに日本の英雄となった頃の話です。彼は自身の偉業を後世に残すため、そして自分自身を崇めるために、巨額の私費を投じて「鷹村守の等身大銅像」をジムの屋上(あるいは近隣)に建立しようと画策します。完成した銅像は、実際の鷹村以上に筋肉が強調され、ポーズも決まりすぎているという代物でした。
しかし、この銅像が平穏無事に済むはずがありません。ジムのメンバー、特に日頃から鷹村に理不尽な目に遭わされている青木や木村、そしてライバルたちによって、この銅像は格好のイタズラの標的となります。夜な夜な銅像にアフロのカツラが被せられたり、顔に油性マジックで落書きをされたり、あるいは鳥のフン害に遭ったりと、鷹村の分身である銅像は散々な目に遭います。鷹村がそれを見て激昂し、犯人探しをするものの、全員が知らんぷりをするという「犯人はこの中にいる」的なミステリー(茶番)展開も最高におかしいです。鷹村の「自分大好き」な性格が空回りして、結局は恥を上塗りするという展開は、読んでいてスカッとするカタルシスがあります。
一方、一歩の後輩であるスピードスター・板垣学のエピソードも忘れてはいけません。彼は天才肌のイケメンボクサーですが、彼の家族(板垣家)が登場する回は、作品のトーンがガラリと変わります。板垣家は両親と妹(ナ菜)を含めた全員が美形なのですが、彼らには致命的な欠点があります。それは、「呼吸をするように寒いダジャレを連発する」という特殊な家風です。
一歩が板垣家を訪れた際、父・母・妹が次々と繰り出すダジャレの波状攻撃に遭遇します。「板垣家だけに、イタガキ(いただき)まーす!」「布団が吹っ飛んだ」レベルの古典的なものから、意味不明な造語まで、とにかく会話のすべてがダジャレで構成されているのです。一歩は先輩として、また客として、愛想笑いでその場を乗り切ろうと必死になりますが、その「気まずい空気感」の描写が秀逸です。読者としても「うわぁ……」と思いつつ、一歩の困り顔を見て笑ってしまう。そんな、少し知的で(?)シュールな笑いが板垣家の持ち味です。

海での合宿は全裸や花火が満載
スポーツ漫画における「合宿」といえば、通常は地獄の特訓を通じて主人公たちが成長する感動的なパートです。しかし、鴨川ジムの場合、特に「海」への合宿となると話は別です。もちろんトレーニングも行いますが、それ以上に「遊び」への情熱が暴走し、毎回とんでもない騒動が巻き起こります。原作の20巻前後などで描かれる海合宿編は、まさに青春ギャグ漫画の最高峰と言っても過言ではありません。
この海合宿で特に有名なのが、「花火大会」と称した戦争ごっこです。夜の砂浜で花火を楽しむはずが、鷹村の発案でいつの間にか「ロケット花火を互いに撃ち合う」という危険極まりないバトルロイヤルに発展します。普通なら大怪我をするところですが、彼らは全員が超人的な動体視力と反射神経を持つプロボクサー。飛んでくる花火をヘッドスリップやウィービングで華麗に回避し、カウンターで打ち返すという、才能の無駄遣いが展開されます。「ボクシングの技術をこんなことに使うな!」とツッコミを入れたくなりますが、その描写の迫力と馬鹿馬鹿しさが相まって、ページをめくる手が止まりません。
そして、海といえば「全裸」ネタも定番です。一歩が海で泳いでいる最中に、波にさらわれて海パンを紛失してしまう事件が発生します。陸に上がるためには何かで股間を隠さなければなりませんが、手元にあるのは漂着した海藻や、釣れたイカなど、頼りないものばかり。一歩が必死の形相でイカを股間に当てて隠そうとする姿や、それを面白がって写真を撮ろうとする鷹村たちの悪ノリは、男子校の修学旅行のようなノリで非常に親近感が湧きます。
また、彼らの目的の一つである「ナンパ」も忘れてはいけません。鷹村たちは「ボクサー=モテる」という幻想を抱き、肉体を誇示して女性客にアプローチしますが、日焼けの跡が変だったり、筋肉が凄すぎて引かれたり、あるいはデリカシーのない発言で自滅したりと、結果はいつも全敗。リングの上では無敵のチャンピオンが、ビキニの女性の前ではただの不審者として扱われる姿には、哀愁とともに大きな笑いが込み上げてきます。
閲覧時の注意点
海合宿編をはじめとするギャグ回では、一歩や青木たちの全裸描写(局所は巧みに隠されていますが)や、小学生レベルの下ネタが頻出します。電車内やカフェなど、公共の場で読む際は背後に注意してください。思わぬシーンで画面を見られて誤解される可能性があります。
読者が選ぶおすすめランキング
ここまで個別のエピソードを紹介してきましたが、「結局どれから読めばいいの?」「一番面白いのはどれ?」という疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。そこで、私の店に来店されるお客様との会話や、ネット上のファンの声を総合し、独断と偏見で選んだ「ギャグ回・神回ランキング」を作成しました。これから読み返す際の参考にしてください。
| 順位 | エピソード名(通称) | 収録巻数の目安 | 笑いの種類・特徴 |
|---|---|---|---|
| 1位 | 鷹村 vs 熊(山中合宿) | 30巻前後 | パニック、ブラックジョーク、顔芸 (シリアスからの落差が最高) |
| 2位 | 青木・木村の全裸・珍行動全般 | 全編(特に40-60巻) | 身体を張った下ネタ、自虐ネタ (A級ボクサーの悲哀と爆笑) |
| 3位 | ブロッコマン入場 | 60巻前後 | 出オチ、シュール、コスプレ (見た目のインパクトNo.1) |
| 4位 | 鷹村のイタズラと天罰 | 全編 | 因果応報、理不尽な暴力 (王様ゲーム的なノリ) |
| 5位 | 一歩の「重戦車」誤解ネタ | 複数回(計量時など) | 勘違い、下ネタ (真面目な一歩が巻き込まれる事故) |
やはり上位は、鷹村守と青木勝という二大ギャグメーカーが関わるエピソードが独占する形となりました。特に1位の「鷹村 vs 熊」は、その後のストーリー展開にも関わる重要なエピソードですので、未読の方は必ずチェックしていただきたい名作です。2位以下の青木・木村コンビの日常も、彼らの人間味が溢れていて、読むと元気が湧いてくること間違いありません。
はじめの一歩のギャグ回を漫画やアニメで
- アニメの何話で見れるか徹底解説
- 漫画の何巻に収録かを確認する
- 青木とトミ子の面白い恋愛模様
- 鷹村守の理不尽な暴力を振り返る

アニメの何話で見れるか徹底解説
アニメ版『はじめの一歩』を見る上で絶対に注目していただきたいのが、声優さんたちの渾身の演技です。特に鷹村守役の小山力也さんと、青木勝役の高木渉さん。このお二人の演技は、もはやアドリブなのか台本なのか分からないほどの熱量があり、キャラクターの面白さを極限まで引き出しています。文字だけでは伝わらない「絶叫」「悲鳴」「独特の間」は、アニメ版独自の強みと言えるでしょう。
例えば、先ほどランキング1位で紹介した「鷹村 vs 熊」のエピソード。これはアニメ第1期(『はじめの一歩 THE FIGHTING!』)の終盤、おおよそ70話〜74話付近で描かれています。アニメでは、熊の恐ろしい唸り声や、森の暗闇の演出が強化されており、そこから鷹村が熊を殴り倒すシーンのカタルシスは圧巻です。さらに、その後の熊鍋パーティーのシーンでは、咀嚼音やメンバーの野獣のような声が加わり、腹筋崩壊度は漫画版を上回るかもしれません。
また、ブロッコマンなどのエピソードは、アニメ第2期『New Challenger』や第3期『Rising』に含まれている場合があります。特に第2期では、鷹村の世界戦だけでなく、青木や木村のタイトルマッチにも焦点が当たっており、彼らのギャグとシリアスの振れ幅を映像で楽しむことができます。アニメ版には、原作の尺の都合でカットされた部分を補完したり、逆にテンポを良くするために演出を変更したりしている箇所もあるため、漫画をすでに読んだ方でも「えっ、こんなに面白かったっけ?」と新鮮な驚きを感じることができるはずです。
漫画の何巻に収録かを確認する
現在130巻を優に超える長大なサーガとなっている『はじめの一歩』。その中から特定のギャグ回を探し出すのは、ファンであっても至難の業です。そこで、マンガ喫茶店長の視点から、ギャグ回を探す際の目安となる巻数を時代ごとにざっくりと分類してみました。これを目安に、書棚を探してみてください。
- 20巻〜30巻付近(初期の黄金期): このあたりは、一歩が日本王者を目指す過程と並行して、鴨川ジムの絆が深まっていく時期です。夏の海合宿、山中での熊騒動、そして鷹村の減量苦にまつわる騒動など、伝説的なギャグ回の多くがこのゾーンに集中しています。迷ったらまずこのあたりを手に取れば間違いありません。
- 40巻〜60巻付近(A級トーナメント・中堅期): 一歩以外のメンバー、特に青木や木村の単独エピソードが増えてくる時期です。青木の「カエルパンチ」開発秘話や、木村の減量エピソードなど、笑いと涙が入り混じった名作が多いのが特徴です。ブロッコマンもこの後の流れで登場します。
- 80巻以降(新世代・円熟期): 板垣学や今井京介といった新世代のボクサーがジムに定着し、キャラクターの相関図が複雑化することで、集団コントのような面白さが生まれています。鷹村が会長代行を務める回や、海外遠征時のトラブルなど、スケールの大きなギャグも見られます。
豆知識:日常パートの隠れた楽しみ方
単行本で読む際は、本編だけでなく、カバーの折り返しにある著者コメントや、巻末のおまけ漫画にも注目してください。森川ジョージ先生の近況報告や、アシスタントさんとのやり取りが描かれており、そこにも本編に負けないくらいのギャグ要素が詰まっています。
青木とトミ子の面白い恋愛模様
『はじめの一歩』のラブコメディ要素(?)を一手に引き受けているのが、青木勝とその恋人・トミ子のカップルです。この二人の関係性は、一歩と久美のプラトニックでじれったい恋愛とは対極に位置する、「濃厚かつホラー、そして爆笑」という独自のジャンルを築いています。
トミ子は、青木の高校時代の同級生であり、看護師をしています。彼女の最大の特徴はそのルックスです。作中では「化け物」扱いされることもあり、初登場時に鷹村や木村が絶叫したほどのインパクトを持っています。しかし、不思議なことに青木にとって彼女は「最高の女神」なのです。この「美意識のズレ」こそが、青木・トミ子カップルの面白さの根源です。周囲がドン引きする中、二人だけはピンク色のオーラを出してイチャイチャするという構図は、読者に戦慄と笑いを同時にもたらします。
特に面白いのが、トミ子の献身的な(しかしズレている)サポートです。青木が減量に苦しんでいる時、彼女は手作りのお弁当を持ってくるのですが、その見た目はドロドロで得体の知れない物体。しかし、味は絶品で栄養満点という設定があり、青木はそれを食べてパワーアップします。また、試合会場では、トミ子が「青木くん!」と黄色い声援を送るのですが、その時のメイクが毎回とんでもなく奇抜で、リング上の青木が「来てくれたのか!」と感動する一方で、対戦相手や観客は恐怖におののくというコントが展開されます。
さらに、彼らのデートシーンも必見です。ボウリング場や遊園地など、定番のデートスポットに行くものの、必ず何らかのトラブル(主に青木が格好つけようとして失敗する、あるいはトミ子のパワーに圧倒される)が発生します。ブサイク(作中設定)だけど愛が深いトミ子と、そんな彼女を心から愛する青木。この二人の姿を見ていると、「男の幸せとは何か」という哲学的な問いすら浮かんできますが、基本的には「混ぜるな危険」の爆笑カップルとして、日常パートを大いに盛り上げてくれています。
マンガ喫茶店長の補足
実はトミ子は、一歩の恋人である久美と同じ病院で働く先輩看護師でもあります。久美に「男の落とし方」をアドバイスすることもあるのですが、その内容があまりに肉食的かつ独特すぎて、久美が困惑するシーンも隠れた笑いどころです。
鷹村守の理不尽な暴力を振り返る
鴨川ジムの精神的支柱であり、同時に最大のトラブルメーカーでもある鷹村守。彼のギャグエピソードを語る上で欠かせないのが、後輩たち(主に青木、木村、一歩)に対する「理不尽極まりない暴力とイタズラ」です。これは単なるイジメのように見えますが、作中では「鷹村ルール」として絶対的な法として機能しており、そのあまりの暴君ぶりが逆に清々しい笑いを生んでいます。
鷹村の暴力ギャグの基本パターンは、「自分の欲求を最優先し、他者の尊厳を無視する」というものです。例えば、合宿所での食事シーン。減量のない鷹村は、減量中の青木や木村の目の前でこれ見よがしに美味しそうな料理を平らげ、さらに彼らのわずかな食事すら横取りしようとします。抗議しようものなら、鉄拳制裁やプロレス技が飛んできます。また、「王様ゲーム」的なシチュエーションを作るのも大好きで、じゃんけんで負けても「俺はグーを出したつもりだったが、手が滑ってチョキになった。だから俺の勝ちだ」といった無茶苦茶な理屈で強引に勝利をもぎ取ります。
特筆すべきは、排泄物(ウンチ)にまつわるネタの多さです。鷹村は試合前になると便秘になったり、逆に緩くなったりすることが多く、それを解決するために後輩を利用しようとします。ある時はトイレが詰まって大騒動になり、ある時はランニング中に催して野外で致そうとする……。世界チャンピオンという輝かしい肩書きを持ちながら、やっていることは小学生レベルの下ネタ。このギャップが、「鷹村守」というキャラクターを憎めない存在にしています。
しかし、この理不尽な暴力がギャグとして成立するのは、彼がリングの上では誰よりも努力し、誰よりも強いという「圧倒的な結果」を出しているからです。「あんなにふざけているのに、試合になるとめちゃくちゃカッコいい」という信頼感があるからこそ、読者は安心して彼の暴挙を笑うことができるのです。被害者である青木や木村も、文句を言いながらも鷹村の実力を認めており、なんだかんだで付き従っている「ジムの兄弟関係」が、このバイオレンスなギャグを温かいものにしています。
はじめの一歩のギャグ回の楽しみ方
ここまで、数々の伝説的なギャグ回やキャラクターごとの見どころを紹介してきましたが、最後に「はじめの一歩の日常パート」を最大限に楽しむためのマニアックな視点をご提案します。長年この作品を読み続けてきた私だからこそ感じる、一歩ワールドの奥深さを共有できればと思います。
まずおすすめしたいのが、「試合パートをあえて飛ばして、日常パートだけを拾い読みする」という楽しみ方です。もちろん、ボクシング漫画として試合の流れを追うのが王道ですが、疲れている時や落ち込んでいる時には、シリアスな殴り合いを見るのがしんどい場合もあります。そんな時、合宿編や日常の飲み会シーンだけをピックアップして読むと、まるで極上のコメディ漫画を読んでいるかのようなリラックス効果が得られます。『はじめの一歩』は、1巻の中に「試合:日常=8:2」くらいの割合で構成されていることが多いですが、この2割の日常パートにこそ、作者・森川ジョージ先生の遊び心が凝縮されています。
また、「背景のモブキャラや書き文字に注目する」のも通な楽しみ方です。ギャグシーンの背景では、メインキャラ以外のジム生や通行人が、とんでもない顔芸をしていたり、ボソッと面白いツッコミを入れていたりすることが多々あります。特に宴会シーンのガヤ(騒ぎ声)の書き文字は、よく読むと声優ネタや時事ネタ、作者の自虐などが隠されていることがあり、細部まで見逃せません。
さらに、電子書籍などで全巻を揃えている方は、年代ごとの「笑いのトレンドの変化」を感じるのも一興です。連載初期の90年代は、昭和的なドタバタ劇や身体を張ったギャグが多いですが、2000年代、2010年代と進むにつれて、キャラクターの性格を活かしたシュールな笑いや、ネットスラングを取り入れたメタフィクション的な笑いも増えてきます。100巻を超える長期連載だからこそ味わえる、時代の空気感の変化をギャグを通して体感してみてください。
まとめ:はじめの一歩は「人生のバイブル」であり「最高のお笑い教科書」
- まずは30巻前後の「鷹村vs熊」から読み始めて、作品のギャグの温度感を知るのがおすすめ。
- アニメ版は声優陣の怪演により、ギャグの破壊力が倍増しているので必見。
- 辛いことがあった時は、青木や木村の不遇なエピソードを読んで「自分はまだマシだ」と笑い飛ばそう。
- 最新刊の情報や公式のキャラクター人気投票結果なども、笑いのネタが満載なので要チェック。
『はじめの一歩』は、単なるスポ根漫画の枠を超え、人生の喜怒哀楽すべてが詰まったエンターテインメント作品です。今回ご紹介したギャグ回(神回)たちが、皆さんの日常に少しでも多くの笑いを届けるきっかけになれば、マンガ喫茶店長としてこれ以上の喜びはありません。ぜひ、今度の休日はお店に立ち寄って、一歩たちのバカ騒ぎに巻き込まれてみてくださいね。
(出典:講談社コミックプラス『はじめの一歩』作品紹介ページ)『はじめの一歩』既刊・関連作品一覧|講談社
